任意同行・任意の取調べは拒否できる?|警察の呼び出しへの対応
警察から「任意で話を聞きたい」「署まで同行してほしい」と言われたとき、断ると逮捕されるのではないか、応じたらそのまま帰れなくなるのではないかと、不安になるのは当然です。結論から言えば、「任意」である以上、法律上は拒否できます。ただし、拒否の仕方には注意が必要です。このページでは、任意同行と逮捕の違い、拒否し続けた場合のリスク、取調べでの注意点を順に解説します。
このページは、広島で刑事弁護に注力する弁護士・古山智隆(広島弁護士会・弁護士登録番号60292)が解説します。広島県全域・島根県・山口県東部に対応しています。
初回30分無料/秘密厳守。お急ぎの方は今すぐお電話を(つながらない場合も折り返します)。
まず結論 ―― 任意である以上、法律上は拒否できます
任意同行も任意の取調べも、法律上の義務ではなく、断ることができます。逮捕・勾留されていない限り、出頭を拒み、出頭した後でもいつでも退去できることが、刑事訴訟法198条1項ただし書に明記されています。
もっとも、「拒否できる」ことと「拒否し続けてよい」ことは別問題です。後述のとおり、連絡を無視し続けると逮捕状請求のリスクが高まる場合があり、現実的には「拒否か応諾か」の二択ではなく、弁護士に相談したうえで対応を決めることが重要になります。
任意同行と逮捕の違い
両者の最大の違いは強制力の有無です。逮捕は裁判官の発する令状に基づく強制処分であり拒むことはできませんが、任意同行はあくまで本人の承諾に基づくもので、応じるかどうかは本人の自由です。
刑事訴訟法198条1項は、捜査機関が被疑者に出頭を求めて取調べることができると定める一方、そのただし書で「被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる」としています。つまり、逮捕されていない段階では、出頭するかどうかも、出頭した後に帰るかどうかも、法律上はご自身が決められます。「任意同行に応じないと逮捕する」という説明があった場合でも、逮捕には別途令状が必要であり、同行拒否そのものを理由に直ちに逮捕できるわけではありません。
拒否し続けるとどうなるか ―― 無視は得策ではありません
拒否は権利ですが、呼び出しを理由なく無視し続けることはお勧めできません。捜査機関が「逮捕の必要性がある(逃亡・罪証隠滅のおそれがある)」と判断する方向に傾く場合があるからです。
呼び出しに一切応じず連絡も取らない状態が続くと、捜査機関が逮捕状の請求を検討するリスクが高まる場合があります。他方で、何の準備もなく取調べに応じて、意図しない内容の調書が作られてしまうことも避けたいところです。現実的な対応は、無視でも即応諾でもなく、弁護士を通じて「弁護士に相談のうえ対応する」と伝え、日程を調整したうえで、準備をしてから出頭することです。これにより、逃げ隠れする意思がないことを示しつつ、取調べへの備えを整えることができます。警察からの呼び出し全般への対応は、警察から呼び出しを受けた方へのページでも解説しています。
同行後の取調べで注意すること
取調べでは、①言いたくないことは言わなくてよい(黙秘権)、②作成された調書への署名押印は拒否できる、という2点が特に重要です。
黙秘権 ―― 話すかどうかは自分で決められる
自己に不利益な供述を強要されないことは憲法38条1項で保障された権利です。任意の取調べでも、答えたくない質問に答える必要はありません。記憶があいまいなまま推測で答えると、後に客観証拠と食い違って不利に働くことがあります。黙秘権の使い方やどこまで話すべきかは事案によって異なりますので、取調べと黙秘権についてのコラムもあわせてご覧ください。
調書の署名押印 ―― 内容に納得できなければ拒否できる
取調べの内容は供述調書にまとめられ、署名押印を求められますが、これは拒否できます(刑事訴訟法198条5項)。いったん署名押印した調書は、後から「言っていない」と主張しても覆すことが難しい場合があります。読み聞かせ・閲覧の際に、自分の言ったとおりになっているか必ず確認し、少しでも違うと感じたら訂正を申し入れ、応じてもらえなければ署名押印を拒否することができます。
なお、任意の取調べには弁護士の立会いが認められないのが現状の運用ですが、取調べの合間や終了後に連絡を取り合うことで、弁護士のサポートを受けながら対応することは可能です。万一逮捕に至った場合も、弁護士は立会人なしでご本人と接見できます(接見についてのページ)。
よくあるご質問
任意の取調べは途中で帰れますか?
帰れます。逮捕・勾留されていない限り、出頭後いつでも退去できることが刑事訴訟法198条1項ただし書に定められています。「帰りたい」と伝えたのに長時間引き留められる対応は問題があり、そのような状況になった場合は取調べ室を出て弁護士に連絡してください。ただし、帰宅の仕方やその後の対応は事案によって考慮が必要な場合がありますので、事前・事後にご相談いただくのが安全です。
任意同行を拒否したら逮捕されますか?
拒否したこと自体を理由に直ちに逮捕されることはありません。逮捕には裁判官の発する令状が必要で、罪を犯したと疑う相当な理由と逮捕の必要性が要件となります。もっとも、呼び出しを理由なく無視し続けると、逃亡・罪証隠滅のおそれがあると判断されやすくなり、逮捕状請求のリスクが高まる場合があります。拒否する場合も、弁護士を通じて連絡・日程調整する形が現実的です。
弁護士に相談してから出頭してもよいですか?
問題ありません。むしろ、出頭前に弁護士に相談することをお勧めします。事案の見通し、黙秘権の使い方、調書への対応などを事前に整理してから臨むのと、準備なく臨むのとでは、取調べへの備えが大きく違います。「弁護士に相談してから日程を返事します」と伝えることは正当な対応であり、それ自体が不利に扱われるべきものではありません。
※ 本ページは2026年7月時点の情報に基づく一般的な解説であり、結果を保証するものではありません。見通しは個々の事案により異なります。
警察から任意同行や取調べを求められて不安な方へ。応じるか断るかをひとりで決める前に、まず状況をお聞かせください。出頭前のご相談にも対応しています。