国選弁護人・私選弁護人・当番弁護士の違い|弁護士費用が払えないときの選択肢【広島の刑事弁護士が解説】

ご家族が突然逮捕されると、「すぐに弁護士に来てほしい」「でも弁護士費用が払えるだろうか」「国選で十分なのだろうか」と、不安が一度に押し寄せてくるものです。

刑事事件で頼れる弁護士には、大きく分けて「当番弁護士」「国選弁護人」「私選弁護人」の3つの入り口があります。それぞれ、頼める時期・費用・選び方が異なります。

まず結論をお伝えします。

  • 逮捕された直後にすぐ来てほしいなら、まずは「当番弁護士」(1回無料)を呼べます。
  • 勾留された後は、費用面の事情などにより私選弁護人を選任できない場合に、国選弁護人を付けてもらう制度があります
  • 時期を問わず自分で選んで依頼できるのが「私選弁護人」です

この記事では、費用への不安に寄り添いながら、3つの制度の違いと、費用が払えないときに取りうる選択肢を、広島で刑事事件を中心に扱う弁護士の立場から、できるだけ中立にご説明します。

当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人の違い(一覧)

まずは3つの制度の違いを、ざっくり一覧で押さえてください。

  • 当番弁護士:逮捕の直後から呼べる/原則1回かぎり無料/弁護士会が派遣/資力は問われない
  • 国選弁護人:原則として勾留された後から/費用は原則国が負担(資力要件あり)/裁判所が選任/弁護士は基本的に選べない
  • 私選弁護人:逮捕前の相談から起訴後まで時期を問わず依頼できる/費用は自己負担/自分で弁護士を選べる

おおまかには、「とにかくすぐ・無料で1回会いたい」なら当番弁護士、「勾留後にお金の余裕がない」なら国選弁護人、「弁護士を自分で選び、最初から最後まで一貫して頼みたい」なら私選弁護人、という整理になります。

以下で、それぞれをもう少しくわしく見ていきます。

当番弁護士とは(逮捕直後に1回無料で呼べる)

当番弁護士は、各地の弁護士会が用意している制度で、逮捕された方やそのご家族の依頼を受けて、弁護士が留置場所まで出向き、原則として1回かぎり無料で接見(面会)してくれる仕組みです。広島でも弁護士会が運用しています。

大きな特徴は、逮捕された直後の段階から呼べる点と、資力(お金の有無)を問われない点です。後でご説明する国選弁護人は、原則として勾留が決まるまで付きませんが、当番弁護士はそれより前の段階から利用できます。

ご家族からの連絡で呼ぶこともできますので、「逮捕された」という連絡を受けて何をすればよいか分からないときの、最初の窓口になりやすい制度といえます。

なお、当番弁護士はあくまで「1回の接見・相談」が基本です。その後も継続して弁護活動を依頼したい場合は、当番で来た弁護士にそのまま私選で依頼するか、要件を満たせば国選弁護人の選任を待つ、といった形につないでいくことになります。

国選弁護人とは(時期と資力要件)

国選弁護人は、弁護士費用を原則、国が負担してくれる制度です。費用面の不安が強い方にとって、心強い選択肢になり得ます。ただし、利用できる「時期」と「資力の要件」に注意が必要です。

時期について:被疑者(起訴される前)の段階では、原則として勾留されていることが条件になります。逮捕されただけで勾留される前の段階では、被疑者国選の対象にならないのが原則です。

資力要件について:被疑者国選では、資力(現金・預貯金などすぐ動かせる資産の合計)がおおむね50万円未満であることが、利用の目安とされています。

また、勾留される前で資力がない場合には、弁護士会・法テラスの「刑事被疑者弁護援助制度」を利用できることがあります。これは、国選の対象にならない勾留前の段階でも弁護士の援助を受けられるようにするための仕組みです。

国選弁護人は、原則として担当する弁護士を自分で選ぶことはできません。誰が選任されるかは裁判所側で決まります。

私選弁護人とは(時期を問わず自分で選べる)

私選弁護人は、ご本人やご家族が自分で弁護士を選んで依頼する弁護人です。費用は自己負担になりますが、当番・国選と違って、依頼できる時期に制限がありません。

逮捕される前の任意の取調べの段階や、逮捕直後で勾留が決まる前の段階からでも依頼でき、起訴後まで同じ弁護士に一貫して任せられる点が特徴です。勾留前は国選の対象にならない原則があるため、「とにかく早い段階から継続して動いてほしい」というニーズには、私選が選択肢になりやすいといえます。

費用については、事務所ごとに着手金・報酬の考え方が異なります。費用が心配な場合でも、見積もりや分割払いの可否を含めて、相談の段階で率直に確認していただくのがよいかと思います。私も、費用のご事情をうかがったうえで、ご依頼前にお見積りをご提示するようにしています。

弁護士費用が払えないときの考え方と「切り替え」という選択肢

「費用が払えないから国選しかない」と決めてしまう前に、次のような整理をしておくと、選択肢が見えやすくなります。

  • まだ勾留前なら:国選は原則使えないため、当番弁護士(無料1回)でまず会い、その後を相談する/資力がなければ刑事被疑者弁護援助制度の利用を検討する
  • 勾留後なら国選弁護人を付けてもらえる可能性がある(資力要件等あり)
  • 早期から一貫して、または弁護士を自分で選んで任せたいなら:私選弁護人を検討する

大切なのは、これらは「どれか一つだけ」ではないという点です。当番弁護士として会った弁護士にそのまま私選で依頼する、いったん国選で進めた後に私選へ切り替える、といったことも可能とされています(切り替えの可否や手続は事案によります)。

費用面の不安は、刑事弁護を考えるうえで当然のご心配です。だからこそ、「払えないかもしれない」という前提で相談を遠慮されるよりも、現在の段階(逮捕直後か、勾留後か、起訴後か)と費用のご事情を率直にお伝えいただいたうえで、使える制度を一緒に整理していくのがよいと考えています。

よくあるご質問

法テラスの「民事法律扶助」を使えば、刑事事件の弁護士費用も立て替えてもらえますか?

いいえ、別の制度になりますのでご注意ください。法テラスの民事法律扶助は、離婚や借金、損害賠償といった民事・家事の問題を対象とした制度で、刑事事件の弁護費用そのものを対象とするものではありません。刑事事件では、勾留後の国選弁護制度や、勾留前の刑事被疑者弁護援助制度といった、刑事向けの仕組みが用意されています。どの制度が使えるかは段階によって変わりますので、混同しないように整理しておくと安心です。

国選弁護人と私選弁護人で、弁護の中身に差は出ますか?

国選か私選かという立場の違いそのものが、活動の質を決めるわけではありません。違いが出やすいのは、依頼できる時期と、弁護士を自分で選べるかどうかという点です。私選であれば勾留前の早い段階から依頼でき、特定の弁護士に一貫して任せやすいという特徴があります。早期の対応を重視されたい場合には、その点が判断材料になることがあります。

家族が逮捕されました。今すぐできることは何ですか?

勾留が決まる前の段階であれば、まずは弁護士会の当番弁護士(原則1回無料)を呼べますので、その利用を検討されるとよいかと思います。あわせて、継続して弁護を依頼したい場合や、早期から動いてほしい場合には、私選弁護人へのご相談も選択肢になります。私も刑事事件のご相談を承っておりますので、状況とご不安な点をお聞かせいただければ、使える制度を一緒に整理いたします。

ご家族が逮捕されたとき、費用の不安から相談をためらってしまう方は少なくありません。けれども、当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人は、それぞれ使える時期も費用の仕組みも異なり、組み合わせや切り替えができる場合もあります。

「今の段階で何が使えるのか」を早めに整理しておくことが、ご本人にとって最善の選択につながりやすいと考えています。

私は広島で、刑事事件を中心にご相談を承っています。費用のご事情も含めて率直にお話しいただければ、現在の状況に応じた選択肢を一緒に考えてまいります。まずはお気軽にご相談ください。

※ 本記事は一般的な解説であり、結果を保証するものではありません。見通しは個々の事案により異なります。

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