運転していないのに免許が取り消される?――飲酒運転の「同乗」で問われる罪と行政処分

飲酒運転の場面のイラスト

飲み会の帰り、友人がお酒を飲んでいると分かっていながら、「駅まで送って」と頼んで、友人の車の助手席に乗った。

運転したのは友人で、自分はハンドルを握っていません。それでも、事情によっては、乗った側が処罰され、免許まで失うことがあります。

この記事では、飲酒運転の「同乗」で何が問われるのかを、刑事処分と運転免許の行政処分の両方から整理します。

(冒頭の場面は、一般的な例として作ったものです。)

弁護士 古山智隆

弁護士 古山智隆広島はちす法律事務所・広島弁護士会

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運転した人だけではない

道路交通法65条は、飲酒運転に関わる行為を4つ禁止しています。

  1. 酒気を帯びて運転すること(運転)
  2. 酒気を帯びた人に車を貸すこと(車両の提供)
  3. 運転することになりそうな人に酒を出すこと(酒類の提供)
  4. 運転者が酒気を帯びていると知りながら、運んでもらうよう頼んで同乗すること(同乗)

現在の法定刑は次のとおりです。同乗した人が処罰されるのは、運転者が実際にその状態で運転した場合に限られます。

  • 運転者が酒に酔った状態(酒酔い):運転した人は5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金、同乗した人は3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
  • 運転者が酒気帯び:運転した人は3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金、同乗した人は2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金

道路交通法は、アルコールの量にかかわらず、酒気を帯びて運転することを禁止しています。

もっとも、酒気帯び運転として刑罰の対象になるのは、呼気1リットルにつき0.15mg以上(血液1mlにつき0.3mg以上)のアルコールを体に保有して運転した場合です。

酒酔いとは、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいいます。令和8年の改正(令和8年法律第52号、2026年7月21日施行)で、呼気1リットルにつき0.5mg以上(血液1mlにつき1.0mg以上)のアルコールを保有する状態も、酒酔いにあたるとされました。この数値に達していなくても、正常な運転ができないおそれがある状態であれば、これまでどおり酒酔いにあたります。

同乗罪が成立するとき

条文からは、次の点がポイントになります。

  1. 運転者が酒気を帯びていることを知っていた
  2. 運転者に、自分を運ぶことを要求・依頼した
  3. 運転者が、実際に飲酒運転をした
  4. 営業中のバスやタクシーなど、法律で除外されている車ではない

2の「要求」は指示すること、「依頼」は頼むことであり、誘われて承諾しただけでは足りず、行き先を指定するなど、自分の意思を反映させようとしたことが必要だとされています。ただし、はっきりした言葉がなくても、同乗者と運転者の関係や同乗に至った経緯から、要求・依頼があったと認められる場合があります。

酒気を帯びていることを知るタイミングは、同乗の前でなくても構いません。同乗してから気づいても、そのあとで行き先を告げれば成立しうるとされています。

運転者の状態をどう認識していたかで、適用される条文も変わります。運転者が酒に酔った状態にあることを知りながら同乗し、運転者が実際に酒に酔った状態で運転したなら3年以下・50万円以下の規定、それ以外で、運転者が酒に酔った状態又は酒気帯び(政令数値以上)で運転したなら2年以下・30万円以下の規定が使われます。

複数人が同乗したときは、要求・依頼した人を同乗罪で、ほかの人を幇助犯として、それぞれ個別に検討することになる、と説明されています。一緒に乗っていたというだけで、当然に処罰されるわけではありません。

行政処分は運転者に連動

同乗で見落とされやすいのが、運転免許の行政処分です。

免許を持っている人が同乗罪にあたる行為をすると、「重大違反唆し等」として、免許の取消し、または6月を超えない範囲での停止の対象になります。

同乗者に運転者の違反点数が加算されるわけではありません。処分の重さは、運転者がした違反の重さで決まります。

  • 運転者が酒酔い運転(35点):免許取消し、欠格期間(免許を再び取れない期間)3年
  • 運転者が酒気帯び運転で呼気1リットルにつき0.25mg以上(25点):免許取消し、欠格期間2年
  • 運転者が酒気帯び運転で0.25mg未満(13点):免許停止(広島県公安委員会の基準では90日以上)

過去に免許の取消しを受けたことがあるなどの場合は、欠格期間がさらに長くなることがあります(3年が5年に、2年が4年に)。

前歴などがない場合の運転者本人の処分も、酒酔いなら取消し・欠格3年、酒気帯び0.25mg以上なら取消し・欠格2年です。つまり、同乗者は、運転者とほぼ同じ重さの処分を受けうることになります。

警視庁のホームページには、知人が飲酒していると知りながら助手席に乗り、二次会の場所まで送るよう依頼して同乗した人が、同乗罪で2年間の免許取消しとなった例が紹介されています。

免許を持っていない人も無関係ではありません。あとで免許を取ろうとしたとき、重大違反唆し等を理由に免許を与えない、とされることがあります。

また、刑事処分(罰金や拘禁刑)と、免許の行政処分は、別の手続です。罰金で済んだとしても、免許の処分が別に行われます。

免許の取消しや90日以上の停止をする前には、「聴聞」という手続が開かれます。

聴聞では、本人が意見を述べ、証拠書類を出すことができ、弁護士を代理人にすることもできます。

同乗罪にあたるかどうかを争う場合は、刑事事件への対応だけでなく、この行政処分の手続への対応も大切です。

思い当たることがあるとき

同乗罪で問題になるのは、「知っていたか」「頼んだといえるか」という事実です。当日の経緯やメッセージのやり取りなどが、あとで重要になることがあります。

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警察から連絡があった、あるいは同乗した車の運転者が捕まった、というときは、早めにご相談ください。

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※この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の事件の見通しを示すものではありません。

この記事を書いた弁護士

弁護士 古山智隆

弁護士古山 智隆

広島はちす法律事務所
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出典:道路交通法(e-Gov法令検索)、道路交通法施行令(e-Gov法令検索)、行政手続法(e-Gov法令検索)、広島県公安委員会「自動車等の運転者の運転免許の効力の停止等の行政処分量定に関する規程」、警視庁「飲酒運転の罰則等」、『道路交通法解説〔16訂版〕』