盗撮は起訴される?性的姿態撮影等処罰法違反の起訴率を解説

スマートフォンで盗撮する場面のイラスト

盗撮で捜査を受けている、あるいはご家族が逮捕されたとき、多くの方が気になるのは「このまま起訴されてしまうのか」という点だと思います。ここでは、法務省「令和7年版 犯罪白書」の公表統計をもとに、盗撮(性的姿態撮影等処罰法違反)の起訴・不起訴の傾向を整理します。本記事は成人の刑事事件を対象としています(少年事件については別のコラムで解説しています)。

結論令和6年の統計(法務省「令和7年版 犯罪白書」)

性的姿態撮影等処罰法違反の起訴率

67.3%

起訴2,982人 不起訴1,451人

令和6年の統計では、起訴された2,982人のうち1,997人(約67%)が略式命令請求でした。

この統計は同法全体の集計であり、盗撮に当たる「性的姿態等撮影罪」だけでなく、撮影した画像の提供・公然陳列、提供目的での保管などの罪も含まれています。

弁護士 古山智隆

弁護士 古山智隆広島はちす法律事務所・広島弁護士会

このページは、広島で刑事弁護に注力する弁護士・古山智隆(広島弁護士会・弁護士登録番号60292)が解説します。広島県全域・島根県・山口県東部に対応しています。

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起訴される確率は?

令和6年の統計では、性的姿態撮影等処罰法違反の起訴率は67.3%です。もっとも、この統計は同法全体の集計であり、盗撮に当たる「性的姿態等撮影罪」だけでなく、撮影した画像の提供・公然陳列、提供目的での保管などの罪も含まれています。そのため、「盗撮(撮影行為)だけの起訴率が67.3%」という意味ではない点にご注意ください。

項目令和6年
起訴率67.3%
起訴人員2,982人
うち 公判請求人員985人
うち 略式命令請求人員1,997人
不起訴人員1,451人
認知件数8,436件
検挙件数6,867件

罰金で済むのか

起訴には、正式な裁判となる「公判請求」と、書面審理で罰金・科料を科す「略式命令請求」の2種類があります。性的姿態等撮影罪の法定刑には300万円以下の罰金という選択肢があるため、100万円以下の罰金・科料を科す略式命令(刑事訴訟法461条)の対象になり得ます。令和6年の統計では、起訴された2,982人のうち1,997人(約67%)が略式命令請求でした。ただし、略式命令請求がされても、それがそのまま「罰金で終わった」ことを示す数字ではありません。略式命令の告知を受けた日から14日以内であれば正式裁判を求めることもでき、その場合は通常の裁判手続に移ります。撮影の態様や余罪の有無、示談の成否などによっては、はじめから公判請求となり実刑や執行猶予が言い渡される事案もあります。実際の罰金額の分布は別記事「盗撮の罰金はいくら?」で解説しています。

起訴・不起訴の内訳(令和6年)

性的姿態撮影等処罰法違反・起訴人員と不起訴人員の合計 4,433人

起訴 67.3%
2,982人
不起訴 32.7%
1,451人

公判請求(正式な裁判)略式命令請求不起訴

※略式命令「請求」の人数です。罰金で終わった人数ではありません。出典:法務省「令和7年版 犯罪白書」資料2-2

弁護士のポイント

略式命令による罰金も有罪の言い渡しであるため、前科として扱われます。前科を避けたい場合は、起訴前の段階で不起訴(起訴猶予等)を目指した弁護活動が重要になります。

不起訴になることは?

起訴率67.3%の裏返しとして、残る32.7%は不起訴となっています。不起訴には、証拠が不十分な「嫌疑不十分」や、罪を犯したと認められても諸事情から起訴を見送る「起訴猶予」などがあります。「起訴率67.3%」という数字だけから、不起訴となった事案がすべて「行為がなかったと判断された」というわけではありません。犯行態様や前科前歴、被害者の方との示談の成立、反省の状況などを考慮して起訴猶予となることもあります。

示談すると不起訴になりやすい?

被害者の方との示談が成立しているかどうかは、不起訴(起訴猶予)や量刑の判断に影響し得る重要な事情の一つです。ただし、それだけで不起訴が確約されるものではなく、撮影の態様や被害の程度、余罪の有無など、他の事情も総合的に考慮されます。示談交渉は、ご本人やご家族が直接行うのではなく、弁護士を通じて進めることをお勧めします。

性的姿態撮影等処罰法とは

盗撮は、令和5年7月13日に施行された性的姿態撮影等処罰法により処罰されます。同法は、承諾なく性的な姿態を撮影する行為(性的姿態等撮影罪)のほか、撮影した画像の提供・公然陳列、提供目的での保管、性的な姿態のライブ配信、配信された影像の記録など、複数の行為類型を処罰の対象としています。それ以前は、主として各都道府県の迷惑防止条例などによって処罰されていましたが、令和5年に全国共通の法律として性的姿態撮影等処罰法が制定されました。性的姿態等撮影罪の法定刑は3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金です。

施行日

令和5年7月13日

性的姿態等撮影罪の法定刑

3年以下の拘禁刑又は
300万円以下の罰金

弁護士が確認すること

盗撮事件のご相談を受ける際、私は、撮影した場所や回数、画像・動画の内容、余罪の有無、データの保存・提供の有無、被害者の方との示談の状況などを丁寧に確認します。これらの事情によって、起訴・不起訴や、公判請求・略式命令請求のいずれになりやすいかという見通しは大きく変わってきます。また、性的姿態撮影等処罰法には、押収物に記録された性的な姿態の画像の消去等に関する規定も設けられており、データの拡散防止という観点からの対応も重要になります。

よくあるご質問

Q罰金はいくらくらいですか?
A

法定刑は300万円以下の罰金ですが、略式命令の対象は100万円以下の罰金・科料に限られます。実際の金額は事案の内容によって異なるため、一概にはお答えできません。通常裁判での罰金額の分布は別記事「盗撮の罰金はいくら?」で解説しています。

Q略式命令で罰金になっても前科はつきますか?
A

はい。略式命令による罰金も有罪の言い渡しであるため、前科として扱われます。前科を避けたい場合は、起訴前の段階で不起訴(起訴猶予等)を目指した弁護活動が重要になります。

Q撮影されたデータは消去してもらえますか?
A

性的姿態撮影等処罰法には、押収物に記録された性的な姿態の画像に係る電磁的記録の消去等に関する規定が設けられています。具体的な手続や範囲は事案によって異なりますので、被害者側・加害者側いずれの立場でも、早めに弁護士にご相談ください。

Q逮捕されず在宅のまま捜査されることはありますか?
A

はい。逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断されれば、逮捕・勾留されずに在宅のまま捜査が進むこともあります。在宅のまま検察庁に送られ(書類送検)、起訴・不起訴が判断される流れになります。成人の逮捕割合については別記事「盗撮で逮捕される?」で解説しています。

Q示談すればどんな効果がありますか?
A

示談の成立は、不起訴(起訴猶予)の判断や、起訴された場合の量刑(略式命令請求か公判請求か、執行猶予が付くか等)に影響し得る事情の一つです。ただし効果を保証するものではなく、撮影態様や余罪の有無など他の事情と合わせて判断されます。

Q67.3%という起訴率は、盗撮(撮影行為)だけの数字ですか?
A

いいえ。この数字は性的姿態撮影等処罰法違反全体の起訴率であり、盗撮行為(性的姿態等撮影罪)のほか、撮影した画像を他人に提供する行為や、提供目的で保管する行為なども含まれています。行為の内容によって実際の見通しは異なりますので、個別にご相談ください。

出典:法務省「令和7年版 犯罪白書」資料2-2(検察庁終局処理人員・罪名別)、用語の定義(起訴率の算出方法)、性的姿態撮影等処罰法(e-Gov法令検索)

私は、逮捕直後からの接見、被害者の方との示談交渉、不起訴・略式命令を目指した弁護活動まで、事案に応じたサポートを行います。ご本人だけで抱え込まず、まずはお電話でお気軽にご相談ください。

警察介入事案は相談無料/秘密厳守

※本ページは2026年8月時点の公表統計(法務省「令和7年版 犯罪白書」)に基づく一般的な解説であり、結果を保証するものではありません。見通しは個々の事案により異なります。

この記事を書いた弁護士

弁護士 古山智隆

弁護士古山 智隆

広島はちす法律事務所
広島弁護士会(登録番号60292)

広島で刑事弁護に注力しています。逮捕直後からの接見、被害者の方との示談交渉、不起訴や早期の身柄解放を目指した弁護活動まで、事案に応じて対応します。対応地域は広島県全域・島根県・山口県東部です。

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